不動産投資を始める前に「相場な価格」を知ろう
不動産情報を検索しても、売値が妥当な金額なのか分からないと、高値で買うことになり損をしてしまう可能性があります。不動産投資が成功する瞬間は、投資物件を購入する瞬間に決まってしまいます。収益性はあるのか、将来万が一の時に売却しても残債が残らないのか。不動産価格の相場な金額を知ることができれば、あなたの不動産を見る目は確実に成長します。
本記事では、不動産投資への1歩目として「相場な価格」を知るための手順を解説していきます。
「相場な価格」とは?
不動産投資における「相場な価格」とは、単に「周りの物件と同じくらいの値段」ということではありません。
投資家にとっては「その物件が将来生み出す利益に見合っているか」という視点が最も重要です。
なぜ「相場」を知らないと危険なのか?
- カモにされるリスク:不動産会社の営業トーク(「投資物件で安定して収益が望めます。」「不動産は資産です」)が真実かどうか判断できない。
- 融資の壁:相場より高い物件は、銀行の評価が低くなり、融資が通らない可能性がある。
- 出口戦略の崩壊:高値掴みをすると、売却時に残債を消せず、ローンを払い続ける人生を送ることになる。
「相場な価格」を知ることで、高値で買わない、営業トークの誘惑に騙されないで購入の判断ができます。また、初歩的な不動産知識を持つことで、不動産会社との会話が弾み、仲良くなれるかもしれません。そうすれば、いい物件を見つける確率もグッと上がります。
「相場な価格」を導く3つのステップ
初心者が今日からできる具体的なステップを提示します。
- 【まずネットで】ポータルサイトで「似た物件」を眺める。
うちなーらいふやグーホームで気になるエリアを指定し、物件情報を眺めます。いくつか似たような物件が出てくると思います。気になる物件をピックアップしてみましょう。
- 魔法の数字「路線価」を使って、土地価格、建物価格を割り出す。
まずは、対象の物件が面している道路に付けられた価格「路線価」を調べます。これは相続税の基準になる価格ですが、ここから逆算して「市場で売れる価格」を推測できます。
- 調べ方: 国税庁 路線価図・評価倍率表 で住所を検索。
- 見方: 道路に「200C」などと書かれています。数字の「200」は1㎡あたり200千円(20万円)という意味です。
相続税路線価と固定資産税路線価の違いは以下のとおりです。
| 項目 | 固定資産税路線価 | 相続税路線価 |
|---|---|---|
| 所管 | 固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税の算出基準 | 相続税、贈与税の算出基準 |
| 価格水準 | 市町村 | 国税庁(税務署) |
| 公表時期 | 原則3年に1度評価替え | 毎年7月に公表 |
| 価格水準 | 公示地価の約7割 | 公示地価の約8割 |
※公示価格: 土地の適正な価格として、毎年3月頃に公表される基準価格。
※相続税路線価・固定資産税路線価のどちらからでも不動産価格を求めることができます。
路線価は、公示価格(土地の適正価格)よりも低く設定されています。そのため、以下の数式で「本来の価値」に引き戻します。
土地の価値(目安)= 相続税路線価 ÷ 0.8 × 土地面積
※固定資産税路線価を使う場合は、÷0.7 を使います。
- 【過去を知る】国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を使い、実際にいくらで成約したのか(実勢価格)を確認する。計算で出してみた土地価格と、近隣で実際に取引のあった価格を比較してみて相場かどうか確認してみましょう。
計算例
対象地:沖縄県中頭郡北谷町字桑江 ◎丁目◯番●号 伊平地区
販売価格:1億5000万円
土地 350㎡
建物 140㎡ 2階建て RC造 築10年
相続税路線価 185F→ 185,000円/㎡

土地価格:185,000円/㎡÷0.7×350㎡=92,500,000円(9,250万円)
ネットに載っている販売価格から、この計算で出した土地価格を引いてみてください。残った金額が『建物の値段』です。
建物価格:150,000,000(販売価格)−92,500,000(土地価格)=57,500,000円(5,750万円)
おおよその建物価格を求めることができました。今回のケースだと、築10年の建物に5,750万円の価値があることに、「この建物に約5000万円の価値はあるのか」、「土地の価値は今後も維持されるのか」を考えていくことで、不動産投資の失敗リスクを減らしていけると思います。他のケースで、築30年のボロ物件なのに、建物代が何千万円も乗っていたら……それは少し慎重に判断すべきサインかもしれません。
この物件が「買い」なのか判断する
計算で出した数字はあくまで「現在の価値」です。不動産投資は長期戦。**「10年後もその価値が維持されるか」**を見極める2つのポイントを紹介します。
1. 「用途地域」をチェックする
その土地に「どんな建物が建てられるか」というルールです。
- 狙い目: 「第一種低層住居専用地域」など、高い建物が建たず環境が守られている場所は、住宅地として安定した需要があります。
- 要注意: 工業専用地域など、人が住むのに適さない場所は、将来売りたい時に苦労する可能性があります。
2. 自治体の「都市計画マスタープラン」を確認する
多くの自治体で「土地利用計画の方針」という都市計画に関する方針を決めています。都市計画とは、「市の健全な発展と秩序ある整備を図るために、土地の使い方のルール(土地利用規制)、道路や公園などの都市施設の整備計画、新しい市街地を作るための事業(市街地開発事業)などを定める総合的な計画」です。都市計画マスタープランを事前に確認することで、土地の価値は継続して維持されるのかを知ることができます。
先程の例をもとに「北谷町都市計画マスタープラン」を見てみます。伊平地区は住宅地(規制誘導型)として土地利用方針がありました。「規制誘導型」として伊平地区には、「地区計画」が定められています。地区計画は、良好な住環境を作ることを目的に「用途地域」よりも細かい建築ルールを定めたものです。例えば、建築するときには「道路から1.5mはセットバックしましょう」、「敷地内の緑化をしましょう」、「外壁の色は暖色系にしましょう」などが挙げられます。個人の好きなように家を建てるのではなく、市町村がある程度規制をして良好な住宅環境を整えることで、将来もその地区の価値が継続していくことができます。


購入して数年後、売却することになった時でも土地の価値が減少していなければ、不動産投資としての失敗確率は下げられます。その市町村の都市計画マスタープランは必ず確認してほしいです。
なぜ「土地価格」を知ると得をするのか?
- 銀行評価がわかる: 銀行は「収益性」だけでなく「積算価値(土地+建物の原価)」を重視します。土地代が高い物件は融資が引きやすくなります。
- 負けない投資になる: もし建物がボロボロになっても、「土地代以下」で買っていれば、最悪土地として売るだけで利益(またはトントン)で逃げ切れます。
まとめ:数字は裏切らない
不動産屋さんの「ここは人気ですよ!」という言葉は主観ですが、計算で出した土地価格は客観的な事実です。
まずは気になる物件の住所をコピーして、路線価図を開くことから始めてみてください。そのひと手間で、「相場な価格」を知ることができ不動産投資の失敗確率はグッと下がります。
